2005年01月19日

[書評]邪馬台国はどこですか?

その説がどんなに荒唐無稽に見えようとも、それが事態を最も矛盾なく説明できるのであれば、それが真実だ

作者のデビュー作にして、表題作を含む6篇の連作短編集。
不思議な説得力のある、軽快な歴史エンターテインメントです。
いやぁ、こりゃ面白いわ。

邪馬台国はどこですか?
鯨 統一郎

東京創元社 1998-05
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収録作は以下のとおり。

『悟りを開いたのはいつですか?』
『邪馬台国はどこですか?』
『聖徳太子はだれですか?』
『謀叛の動機はなんですか?』
『維新が起きたのはなぜですか?』
『奇蹟はどのようになされたのですか?』


教科書に載っている「歴史」が所詮「今、一番真実に近いと考えられている学説」にすぎないと思い知らされます。

舞台はこじゃれたバーのカウンター。
目端の利くバーテンダー松永の前で、アマチュア歴史家(?)宮田が、日本史教授三谷とその美人助手早乙女に展開する歴史の解釈は、大胆で珍妙。しかし、第一級とされている史料を用いて、今までの歴史観が覆るようなすばらしい論理を展開していきます。
いわく、仏陀は悟りを開いておらず、邪馬台国は岩手にあり、聖徳太子なんて存在しない。 信長は光秀と共謀し自殺し、維新は個人の陰謀。そしてキリストは本当に復活していた!
そんな説が、ノートPCやプロジェクターなどのガジェットを用いて、魅力的な推論で語られているのです。

自分は本書で引用されている史料をほとんど読んでいないので、本当にこの推論が正しいのか、判断する材料を持ちません。
本書の論理展開をそのまま信じてしまう人は、よほど素直な人か、あるいは絶対に人と同じ意見は嫌だというひねくれた人だけでしょう。
ですが、「そういうのもありなんじゃない?」と思わせるほど、説得力に満ちた論旨が展開されるのですから、面白くないはずありません。
もしかすると、邪馬台国は岩手にあり、仏陀は悟りなんか開いておらず、聖徳太子は推古天皇の別人格ではないか、そうちょこっとだけ感じることができます。

史実とされ、誰もが信じている根拠のない常識、あるいは、「エライ人」が言った内容をそのまま妄信してしまう、日本人にありがちな悪癖に対して、鮮烈に警鐘を鳴らしている一冊です。

#で、だれか八幡平掘ってみませんか(笑)?

posted by MARS at 12:25 | Comment(1) | TrackBack(2) |
この記事へのコメント
はじめまして。オオキタです。
TB逆探知してやってきました。

これから数冊続けてアウトプットしていこうと思います。いい加減PCの横に読了後の本が積みあがってきたので。

またこれからもお願いしますね。
Posted by オオキタ at 2005年03月19日 07:32
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邪馬台国はどこですか
Excerpt: 一週間に1、2冊は、本を読もうと心がけている僕ですが、ジャンル分けすると6割がミステリー、2割が感動物、1割が実用書、後一割がその他となります。なぜそんなにミステリーが多いのか、、。別に興味ないし、聞..
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邪馬台国はどこですか? 鯨統一郎
Excerpt: 邪馬台国はどこですか?←大好きです! トラックバックさせていただきました。
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