2005年07月22日

【書評】死神の精度

好きでもないことを必死にやる。仕事とはそういうものだ。

死神で、しかも精度。
伊坂幸太郎にして、タイトルだけ見るとものすごく陳腐でおカタイ感じのするこの違和感。
でも読み進めて見るともう気持ちよくて仕方ない。
電車でも、食事中でも、翌日の寝不足を覚悟したベッドの上でも、とにかく時間ができたら続きを読み進めてしまいました。

4163239804死神の精度
伊坂 幸太郎

文藝春秋 2005-06-28
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おすすめ平均

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基本的にはとある死神とその他大勢を描いた連作短編集。
この死神という「職業」(といっていいんじゃないかな、本作の場合)は、いわゆる自然死にはまったく関係がなく、事故や事件といった場合で人が死ぬ際に、その7日前から現れてその人が死ぬべきかどうか判断する、という変わった役職。
直接死をもたらすわけではなく、ただ淡々と「可」または「見送り」の判断を行い、対象者が死に行くのを見守るのが役目です。


主人公として登場するのはそんな死神の一人「千葉」。
彼の目線で、彼の仕事中の出来事、出会った人について語っていくわけですが、すんなりと死神の仕事も理解できるし、また癖のある「死に行く人々」もそれぞれに生死観をもっていることが感じられて、なかなか興味深く読み進めることができました。

主人公が人にあらざるものなので、作中の時間や空間の流れが常識とかけ離れており、それが本書自体のメタ・トリックとして機能しています。
短編集で、別の章の準主役が他の章でも別の役どころで出演する例はよくありますが、これはなかなかにきれいに決まった例じゃないかな。

やっぱりこの人、力ありますよ。

【2005/07/25追記】
トラックバックをたどって、他の方の評価を見てみる(聞いてみる?)と、続編を望む声が多い。
その気持ちはよくわかる。
千葉のキャラクター愛すべきものだもんなぁ。
でも、「調査開始後から8日後に死ぬ」という基本設定が必然的に描かれているのって、実は粗製♪濫読さんの指摘のとおり「死神と藤田」だけで、基本的には一発ネタ。
きれいな終わり方をしたので、これでいいんじゃないかな、と思うおいらは少数派?

posted by MARS at 16:03 | Comment(5) | TrackBack(12) |
この記事へのコメント
MARSさん、はじめまして!
TBありがとうございました。こちらからもTBいたします。
続編…そういえば私はラストが綺麗にまとまっていたので、
そのまま完結として読了してました。
もし続編を書くとしたら、今度は別の死神を主役に…
のほうが面白くなるでしょうか。
個人的には綺麗なまま終わっていたい気持ちが大きいです。

他の記事も拝見させていただきますね!
これからよろしくお願いいたします。
Posted by リサ at 2005年07月25日 14:43
TB返し有り難うございます。
遅ればせながらこちらにコメントさせて頂きますね!

確かに、この作品は綺麗にまとまっていますね。
逆に続編を出すと面白くなくなる類の本ではないかなと思っています。

未読の伊坂作品を読んでみたいと改めて思いました。
Posted by JiNG at 2005年07月25日 18:11
コメントありがとうございます。

>リサ様
えーと、このブログではあまりひとつのテーマを掘り下げずによろずに話題を取り扱っていますのでお気にめす記事がありますでしょうか(^^;

>JiNGさま
まさしく未読作品を本屋で探すのが私の最近の行動パターンです。
呼んだものを全部評価できるほどには読書力も時間もないのが悩みですね。

ということで皆様今後ともごひいきに。
Posted by MARS at 2005年07月26日 14:11
MARSさん、こんばんは♪
TBありがとうございました。
活字中毒日記のトラキチです。

伊坂さん、いいですよね。
My Best Books!のランキングもTBさせていただきました。
可能でしたらMARSさんもご投票いただけたら嬉しく思います。
Posted by トラキチ at 2005年07月27日 02:36
遅ればせながら、読みました。
読み始めて気づいたんですが、厳密に言えば初伊坂ではありませんでした。
この中の1編が雑誌に掲載された時に読んでいました。
(余談ですが、この時の「オール読物」には朱川氏の「花まんま」も入ってて、今思えばお得な1冊でした)
雑誌のとちょっと比べてみたんですが、単行本化に当たって、ほかの作品と関連させる部分をちょっと加筆して、より連作感を強めているみたいでした。

読んでいて非常に心地よい味わいですね。
あと、男性作家の書く男性は、やっぱかっこいいな〜〜と思いました。
反面、男性作家の書く女性は、女の目で見ると魅力が薄いっす。

今日BOOK−OFFへ行ったのだけど、伊坂作品1冊もありませんでした。
文化の僻地にいることを改めて実感しました。
折原一氏の文庫を数冊買って帰りました。
Posted by 美也子 at 2005年08月02日 17:44
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